対話型鑑賞を応用して解決!職場のトラブル事例

職場の対話型鑑賞の応用/コミュニケーション不足が起こす問題

情報共有が不十分であったり、誤解が生じたりすることで関係が悪化するケースを例にとってみましょう。

先輩社員Bさん

昨日までに資料のドラフトをまとめてくれるって言ってたよね? 管理職に出す前に確認したかったんだけど、何も来てないよ。

社員Cさん

えっ!? 金曜日までって聞きましたけど…だから、まだ途中なんです。

先輩社員Bさん

そんなはずないよ。急いでるのに、なんで確認してくれなかったの?

社員Cさん

Bさんの言い方だと“金曜提出”だと思ってました。すみません…… でも、正直ちょっと責められてる感じがして……すべて私が悪いんでしょうか。

管理職Aさん

資料の提出の件でちょっと誤解があったみたいですね。今日は、正解探しじゃなくて、“みんながどう見て、どう感じたのか”を話し合う場にしたいと思います。気軽に意見を出してくださいね。

対話型鑑賞を応用した問いかけと対話

管理職Aさん

今回の件で、どんなことが起きていたように感じたのかな?

社員Cさん

私は“金曜提出”だと思い込んでいて、それでBさんを困らせてしまった、と感じました。

先輩社員Bさん

私は“木曜までに見たい”と考えていたので、“Cさんが期限を守らなかった”と思ってしまいました。

管理職Aさん

ありがとうございます。では、それはどんなところからそう思ったのかな?

社員Cさん

Aさんから“金曜の会議に必要”と言われたとき、〝金曜に出せばいい〟と解釈しました。

先輩社員Bさん

私は“会議に出す前に自分が確認する必要がある”と思い、木曜が期限だと理解しました。

管理職Aさん

なるほど。ほかに、この出来事から見えてくることはありますか?

社員Cさん

やっぱり、確認を取らなかったことが大きな原因ですね。

先輩社員Bさん

お互い“当然こうだろう”と思い込んでいたのも原因だと思います。

管理職Aさん

それぞれの視点を聞いて、共通点も見えてきましたね。

これからは、期限やお願いごとは“◯日◯時まで”って具体的に確認して、お互いに復唱するようにしましょう。そうすれば、同じような誤解は防げると思います。

社員Cさん

はい、その方法なら安心です。

社員Cさん

わかりました、ありがとうございます。

職場での対話型鑑賞の応用/学びのポイント

  • 管理職が「意見を引き出す場」を意識的に作ることで、責任の押し付け合いではなく多様な視点の共有ができる。
  • 対話的鑑賞を応用した質問を使うと、事実と解釈を分けて整理できる
  • 解決策は「誰かを責める」ではなく、プロセス改善として導きやすくなる。
たまざわふみえ

対話的鑑賞の枠組みはシンプルですが、いろんな場面に応用できるのが魅力なんです!
美術作品を前にした対話だけでなく、社内トラブルの整理や会議のファシリテーションにもハマるんですよね。