西洋美術史を知ることで深まる、作品との心の対話

学校時代、美術の教科書や資料集、カレンダーで出会った一枚の名画。
ふとページをめくる手を止めて、「きれいだな。何が描いてあるのだろう」と見つめていた、そんな思い出はありませんか?
もし、その絵画が描かれた時代や芸術家の人生を知っていたなら──
目の前の作品はもっと鮮やかに、あなたの心へ語りかけてくるでしょう。
西洋美術史の物語を知ると広がる世界

私たちは普段、直感的に「美しい」「好き」と感じながら絵画や彫刻を楽しみます。
けれども、西洋美術史や作品の背景を少し学ぶだけで、鑑賞の深さは大きく変わります。
とくにキリスト教美術や神話を題材にした作品には、物語性が色濃く表れています。
聖人が手にする小さな道具や、背景に描かれた風景にも意味が込められており、それを理解すると絵画はまったく新しい表情を見せてくれます。
西洋美術史が教えてくれること
西洋美術史を学ぶことは、単に「誰が描いたか」を知るだけではありません。
ルネサンスからバロック、ロマン主義、印象派へと続く歴史の流れの中で、芸術家たちは常に新しい表現を追い求めました。
その変遷をたどることで、同じ題材でも時代ごとに描き方が大きく異なる理由が見えてきます。
また、構図や色彩、人物の配置には画家の意図が隠されています。
視線を導く構成や象徴的な色使いを理解すると、作品たちは単なる美しい図像ではなく、深いメッセージを持つ「語りかける作品」として立ち上がるのです。

私と西洋美術史との出会い

私自身も、西洋美術史に魅了された一人です。
高校生の頃、世界史の教科書に載っていた挿絵を、先生の話もうわの空で眺めていた思い出があります。
それから長い年月を経て、教員として働き始めてからのことです。
改めて西洋美術史を学ぶうちに、絵画や彫刻は、人間の生み出す素晴らしい産物であり、芸術家その人を映し出す「記憶」でもある、と強く感じるようになりました。
作品の中には、当時の人々の祈りや願い、そして芸術家たちの情熱が色濃く刻まれています。筆のタッチや、彫り出された質感などに込められた想いをたどると、何百年も前の芸術家の息づかいが今もそこに生きているように感じられ感動します。
また、ときには「まるでそこに居合わせたかのような感覚」に包まれることもあり、美術鑑賞は知的な探究であると同時に、心を豊かにしてくれる体験になっています。
西洋美術史のページでは、これから西洋美術史を彩った偉大な芸術家たちと、その手による傑作の数々を、心からの敬意を込めてご紹介していきます。

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上の写真は、フィンセント・ゴッホ作『星月夜』の部分を、拡大したものです。「ゴッホの筆使いまで見てみた~い!」と思う方は下のリンクをご覧ください。