レジンアート作品 ようやく完成しました
角度によって変わる光とレジンの表情
一作目となる作品が、ようやく完成しました。
額縁に収めるために制作した、初めての絵画仕立ての作品です。
海の泡をイメージし、レジンとビーズで表現しました。
タイトルは「しおの詩」、サイズはF6号です。
「しお」とは、満ちていく海の潮のイメージです。
海の泡が、まるで何かお喋りをしているような、リズム感を大切にしています。
そして、ひとつひとつ慎重に手を進めたため、完成までには三週間を要しました。
この作品は、レジン特有の乱反射によって、見る角度ごとにまったく異なる表情を見せます。
写真だけではその魅力を十分に伝えきれず、同じものを複製することもできません。
この作品は、唯一無二の存在なのです。
いつかどこかで、皆さまに直接ご覧いただき、この作品ならではの変化や輝きを体験していただければ幸いです。
アクリル板にレイアウトする方法
このブルーやエメラルドグリーンに輝くパーツは、下の写真のように、一つ一つが小さなお皿のような形をしています。
キャンバスとなる支持体には、透明なアクリル板を使用しています。
そして、パーツをひとつずつ配置するために、そのアクリル板に、パーツの大きさや形状にあわせて、穴を開け、はめ込んでいるのです。
ですから、画面の表側も裏側にも、すこし ❝でっぱり❞ が、できます。
それを、どうやって額縁に納めたらいいのだろう…というのが、今回の課題でした。
考えた末、油絵用の額縁を使用し、表側のでっぱりを、7mm以下におさえてビーズをつけようという結論を出しました。
なぜ7mmなのかというと、額縁表面を保護しているアクリル板までの隙間が7mmだからです。
裏側の隙間は、なんと嬉しいことに、20mmもあるのです!
これは、油絵のキャンバスの枠木の厚さなんですね。
ほんとに嬉しい発見でした。
透明感と躍動感を生み出すレジンの技法

大好きなレジンを最大限に生かしたい
私が、制作の過程で最も神経を使うのは、材料の選び方と、その扱い方です。
その上に、ブルー、エメラルドグリーン、藍色のレジンを重ねていきます。
アルミホイルで形づくった型の中に層状に流し込むことで、海の泡が生まれて輝きを見せる表情と、その瞬間を表現しました。
このとき意識しているのは、色の重なりが生み出す意図せずに出来上がる美しさです。
レジンは透明感を保ちながら硬化していくため、色と色が重なり合うことで、それぞれの層が独自の表情をもつようになります。
型に斜めにしてレジンを流し込み、複雑な色の重なりをつくることで、光を透過したときにだけ現れる繊細な個性を引き出すことができるのです。
ビーズの配置にも、細やかな工夫を重ねています。
小さなパーツを爪楊枝の先につけ、何度も試しながら位置を決めていきます。
「ここに置いてみようか」「この色で合うだろうか」「大きさのバランスはどうだろう」と、ひとつひとつ問いかけながら慎重に進めました。
作品の細部は、こうした小さな選択の積み重ねで成り立っています。
泡の軌跡を描くレジンとビーズのリズム

私の作品をご覧になった方の多くは、水滴が落ちるような印象を受けられるようです。
私自身は、泡が静かな海の中を通り抜けていく軌跡を表現したいと思って制作しています。
泡がふわりと浮かび、やがて溶けて消える瞬間。
その儚さと軽やかさを、ビーズやレジンの光で描こうとしています。
実際に作品を目の前にすると、人によって感じ方がさまざまです。
「泡が炭酸のように浮かび上がっていくように見える」とおっしゃる方もいれば、「溶けていく雫のように感じる」と語ってくださる方もいます。
同じ作品でも、見る人の心の状態や視点によって、全く違う世界が立ち上がることに、私自身も、とても興味深く拝見しています。(正解はありません!)
ビーズの配置の間隔にも、特別な工夫をしています。
水滴がリズムよく滴り落ちるように、間隔に強弱をつけたり、不規則に配列したりしながら、作品全体に「音のようなリズム感」を生み出そうと試みています。
小さなビーズ、銀色の粉末を混ぜ込んだレジンなどを組み合わせることで、光の乱反射によって見る位置を変えるたびに現れたり消えたりする繊細な表情が浮かび上がるように工夫しています。
まとめ
いままで、インスタレーション作品ばかりを作っていた私は、四角いキャンバスの中に絵を描くという、新しい、そして新鮮な経験をしました。
この画面に、精いっぱいの表現が出来たか、といいいますと、実は、画面の外にいっぱい表現したいものを残している気分なのです。
それをきっと、創作意欲と呼ぶのでしょうね。
頭の中に、色々な表情のレジンのパーツがいくつも浮かんできます。
作品を通して、皆さんと対話できることを楽しみに、次の作品に取り掛かろうと思います。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
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